
日本の象徴的な塗料である「漆」。
JAPANは日本のことですが、japanと明記すると漆のことを指し、また、海外では「ジャパンラッカー」などと呼ばれているとか。
今回は、木・陶器・磁器・布・金属・紙などの素材に塗布した作品が並びます。
作家さんごとに、作り方などを分かりやすく記したものも一緒に展示しているので、興味があるけれどよく分からない そんな方にも是非足を運んで頂きたい展示です。

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能登千加重さんの作品。
ベースは陶器で上から漆を塗った「陶胎漆器」です。
均一にならないよう漆を擦り込み、表情豊かにしていきます。
どこかプリミティブで、陶器ではないような質感。
使うことで生まれる経年変化も魅力です。漆がすれることで濃淡がより豊かになり、食材や油を少しずつ吸って艶も増し、深みのある器に育つのでしょうか。自分だけの色に染めていくのは想像すると楽しくなりますね。




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榎本悦子さんの作品。
磁土を使い、泥漿の鋳込みで作品成形を行っています。
作品にある色は、生漆にテレピン油で濃度を変えて染めているのだとか。
銀色に見えるのは錫の粉。銀と違い黒くならない利点があります。
ブローチ、器などで表現しています。



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網なおきさんは四国で色漆を学び、独自の活動をスタートさせました。
木・布・金属・七宝・磁器・陶器など、様々な素材に鮮やかな色漆で描いていきます。使うもの、飾るもの、身に着けるものなど、漆を使いながら様々な表現をしています。



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篠原春奈さんは乾漆の作家さんであり、漆掻きの職人でもあります。
乾漆は素地に布を使います。あらかじめ作った型に布をかぶせ、その上から漆を何度も塗り重ねることで表面はより堅牢になりますが布の軽やかさはそのまま。
持った時にふわっとする軽さで驚きます。



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松崎修さんの作品。
普段はほとんど機会を使わずノミで形造り、漆を塗り重ねた野趣に富んだ木の器を制作していますが、今回は和紙に漆を塗った作品を展示しています。
建材としての漆の使い方の一として、壁紙の提案を思案中なのだとか。
自然に生まれる濃淡と艶は品もあり、年月が経っても美しいことでしょう。



日中は暖かな陽も差して、気持ちよく過ごせるかと思います。
ぜひお気軽にお出かけくださいませ。
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『漆の表現』~japan phrase~
参加作家/能登千加重・榎本悦子・篠原春奈・網なおき・松崎修
1月19日~2月7日 ※水曜定休
10:30~17:00 (最終日~16:00)
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